製造業は他の業種と比較して、労災事故が多い業界です。
工場や製造現場では、機械を使った作業や高所での作業など、事故が発生しやすい環境にあります。
本記事では、製造業における労災事故の実態や、労災認定のポイント、
そして会社に対する損害賠償請求について詳しく解説します。
仕事中の事故による怪我は労災になります
製造業における事故で怪我をした場合、それが業務中の事故であれば、労災として認定されることが多いです。
使用者(会社)は労働者に対して「安全配慮義務」があり、安全で健康な労働環境を提供する責任があります。
これを怠った場合、会社は労災事故の原因に関わる責任を問われることがあります。
例えば、機械の適切な保守がなされていない、作業環境に危険な要素が残されている、
または従業員への安全等に関する教育が不足している場合などです。
このような場合、労災事故が発生すると、使用者側は責任を問われ、労働者は労災保険給付のみならず、使用者に対して損害賠償請求をすることができます。
製造業は全業種のなかでも最多の労災事故発生状況
製造業は、他の業種に比べて労災事故が多い傾向があります。
実際に、厚生労働省のデータによると、製造業は労災事故発生件数が最も多い業種とされています。
以下のリンクにて、詳細なデータが確認できます:厚生労働省 労災事故発生状況
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001543319.pdf
製造業でよくある事故の型
製造業で発生しやすい労災事故には、いくつかの典型的な事故のパターンがあります。
主に以下のような事故が多く発生しています。
はさまれ・巻き込まれ
機械に体の一部が挟まれたり、回転部分に巻き込まれたりすることによる事故。
転倒
工場内の床が滑りやすかったり、物が散乱したりしていることで発生する事故。
転落
高所作業や階段の昇降時に発生する事故。
切れ・こすれ
鋭利な物や機械部品に触れてしまうことで切創や擦り傷を負ってしまう事故。
これらの事故が発生した場合、重篤な後遺症が残ったり、あるいは最悪の場合、命に関わる事態になったりすることもあります。
製造業での労災事故の原因
製造業での労災事故の原因としては、以下の点が考えられます。
安全管理の不足:使用者による適切な安全対策が講じられていない場合、事故が発生しやすくなります。
機械や設備の操作ミスやマニュアル不足
機械の操作方法が不明確、あるいは適切なマニュアルが無いと、操作ミスや事故が生じやすくなります。
従業員の教育不足
作業手順や緊急時の対応についての教育が不十分だと、思わぬ事故を引き起こすことになります。
手足の切断と後遺障害の認定基準
製造業では手足を切断するような重傷を負うことがよくあります。
そのような障害を負ってしまうと、その後の生活や仕事に大きな影響を及ぼします。
手足の切断による後遺障害は、労災保険で補償が受けられるほか、後遺障害の等級認定が行われます。
次のとおり、事故によるケガの程度に応じて、障害の等級が決定されます。
等級が高いほど、受けられる補償額も増加します。
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障害部位 |
等級 |
説明 |
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上肢の欠損障害 |
1級 |
両上肢をひじ関節以上で失ったもの |
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2級 |
両上肢を手関節以上で失ったもの |
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4級 |
1上肢をひじ関節以上で失ったもの |
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5級 |
1上肢を手関節以上で失ったもの |
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手指の欠損障害 |
3級 |
両手の手指を全部失ったもの |
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6級 |
1手の5の手指又は母指を含み4の手指を失ったもの |
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8級 |
1手の母指を含み3の手指又は母指以外の4の手指を失ったもの |
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9級 |
1手の母指又は母指以外の2の手指を失ったもの |
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12級 |
1手の小指を失ったもの |
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13級 |
1手の母指の指骨の一部を失ったもの |
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14級 |
1手の母指以外の手指の指骨の一部を失ったもの |
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下肢の欠損障害 |
1級 |
両下肢をひざ関節以上で失ったもの |
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2級 |
両下肢を足関節以上で失ったもの |
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4級の5 |
1下肢をひざ関節以上で失ったもの |
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4級の7 |
両足をリスフラン関節以上で失ったもの |
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5級 |
1下肢を足関節以上で失ったもの |
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7級 |
1足をリスフラン関節以上で失ったもの |
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足指の欠損障害 |
5級 |
両足の足指を全部失ったもの |
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8級 |
1足の足指を全部失ったもの |
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9級 |
1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの |
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10級 |
1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの |
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12級 |
1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの |
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13級 |
1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの |
労災認定と補償のポイント
➀労災事故が発生した場合、最初に労災認定が行われます
認定されるためには、以下の基準が重要です。
業務災害か通勤災害か:業務に従事している際に発生した事故は業務災害として認定されますが、
通勤中の事故は通勤災害として扱われます。
業務遂行性・業務起因性の有無
事故が業務に関連しているかどうかが判断基準となります。
証拠資料の提出
診断書や運行記録、目撃証言などが重要な証拠となります。
②労災保険から得られる給付
療養補償給付
労災が認定されると、治療費・手術費・通院費などはすべて労災保険で補償されます。
休業補償給付
治療のために休業した期間中は、「休業(補償)給付」として、平均賃金の約8割(休業補償給付+特別支給金)が支給されます。
後遺障害が残った場合の補償
症状固定後も障害が残る場合は、「障害補償給付」として以下が支給されます。
- 障害補償年金(1級から7級までの障害の場合)
- 障害補償一時金(8級から14級までの障害の場合)
- 障害特別一時金・特別支給金(上乗せ給付)
ただし、労災保険からの給付だけでは、十分な補償を受けることができない場合もあります。
労災保険では十分な補償は受け取ることができない
労災保険は、事故の治療費や一部の賃金を補償するものの、十分な補償が得られるとは限りません。
特に、重度の障害を負った場合や、生活に大きな支障が出る場合、労災保険だけでは生活が困難になることもあります。
会社に損害賠償請求をするという選択肢
労災保険は「最低限の生活補償」を目的としているため、精神的苦痛(慰謝料)や将来の収入減少(逸失利益)などは含まれません。
そのため、会社に安全配慮義務違反がある場合は、別途、会社へ損害賠償請求を行うことが可能です。
弁護士によるサポート内容
労災事故が発生した場合、事故に遭った労働者は、労災保険だけでは不十分な場合が多く、会社に対して損害賠償請求を行うという選択肢があります。
このような請求を行う際に、弁護士のサポートは非常に重要です。
以下では、弁護士が提供できる主なサポート内容について詳しく説明します。
会社に対する損害賠償請求
労災事故によって大きなケガや損害を受けた場合、労働者は会社に対して損害賠償を請求することができます。
弁護士は、この請求を適切に行うために次のようなサポートを行います。
安全配慮義務違反の立証
会社は労働者の安全や健康を守る義務を負っていますが、安全配慮義務違反については労働者側で立証する必要があります。
弁護士は、会社が安全配慮義務を果たしていなかったことを証明するために必要な証拠を集め、立証活動を行います。
休業損害・逸失利益・慰謝料の請求
事故によって仕事ができなくなった場合、休業損害や逸失利益が発生します。
休業損害とは、事故後の療養のために働けない期間の賃金補償であり、逸失利益は事故によって将来得られなくなった収入を指します。
さらに、事故によって精神的・身体的な苦痛を受けた場合、慰謝料も請求対象となります。
弁護士は、これらの損害を適切に算定し、請求します。
示談交渉から訴訟対応まで一貫サポート
多くの場合、損害賠償請求は示談交渉から始まりますが、示談が成立しない場合には訴訟を通じて争うことになります。
弁護士であれば、示談交渉から訴訟まで一貫して対応可能です。
当事務所のサポート内容
当事務所では、労災事故による後遺障害の障害補償給付申請・損害賠償請求のサポートを行っております。
「作業中に怪我をして後遺症が残った」、「会社の責任が気になる」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
当事務所では経験ある弁護士が依頼者の方の話をじっくり聞き、最善の解決を目指してまいります。
初回
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